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オンライン授業のデメリット。現役語学教師の現場から

語学の授業にオンラインは向かない

ここでは1対1のプライベートではなく、グループレッスンでの話をします。

外国語の授業というのは文法などを説明する「説明型」の授業と、習ったことを使う「参加型」のタイプがあります。

カリキュラムにもよりますが、通常この2つを組み合わせて授業は構成されています。

 

説明をして理解を確認、練習問題などを解くのであれば、教室で行う授業と比べてほとんど変わりはなく問題はありません。

 

ところが「参加型」の場合はそうはいきません。

 

教師が投げかけた質問に瞬時に答えたり、チェーンドリル(生徒が疑問文で隣の生徒へ尋ね、聞かれた側はそれに答える。

同じ質問を次の人へ回して教室内で順繰り回転させる)などの活動がスムーズに進みません。

 

教室に集まっているわけではなく、みんながバラバラの場所にいるので上手くいかないのは当たり前です。

今起こっているひとつの出来事をみんなでシェアするという雰囲気がかなり損なわれてしまうのです。

 

その場にいるからこそ活動が活発になり、様々なバリエーションの質疑応答、活動が可能になります。

特に初級レベルのクラスにおいては、日常のいろいろな場面設定で発話をするという訓練が重要です。

 

また、活動の内容もただ発話のための練習となっては意味がありません。生徒があまり意味を感じられないからです。

日常で使う場面に焦点を当て、生徒たちがやって意味のある活動と理解することで参加意欲も増すものです。

 

椅子に座って口を開けるだけではなく、立って教室内を移動して行う活動も場面設定するために不可欠となってきます。

 

オンライン授業ではこれができないのです。

 

したがって、自ずと説明が中心になるスタイルになってしまいます。しかし、これでは実力がつきません。

授業を受ける側の生徒は、しっかり文法などを説明してもらい、ちゃんと練習問題もできれば一定の満足はあるかもしれません。

でも、なかなか成長には結びつきません。

 

語学教育の現場では世間の情勢により急遽、今まで行っていた授業をそのままオンラインに移行するしか手立てはなく、その内容は十分な準備時間を得られずに突入しているというケースも少なくありません。

 

教室と変わらないクオリティーを実現するには、かなりの研究時間が必要です。

すでに何年も前から取り組んでいるところ以外は、まだまだ時間がかかるだろうと思います。

 

これからオンライン学習のコースに参加をするなら、その学校のオンライン授業の実績を調べてみることをお勧めします。

つい最近始めたばかりであれば、そのクオリティーに関しては疑問を持ってもいいかもしれません。

 

但し、1対1のプライベートレッスンであれば話は別です。次の項でもう少し詳しく解説します。

 

もちろんメリットもある。オンライン授業の良い点2つ

1 プライベートには対応可能

大勢のグループとはちがって、1対1になれば教室と大差ないレッスンが可能となります。

ここにはグループでやるような障害はほとんど起こりません。

 

特に、すでにある程度の会話ができる中級レベル以上の生徒であれば、会話の練習を存分に楽しむことができるので、教室に通う移動時間を節約したい人や、もし授業料の面で割安になるならひとつの選択となるでしょう。

 

2 勤務地や住居地に左右されない

都市部であれば、自分の生活圏内に受講したい学校がいくつかあって、選択の自由があるかもしれません。

 

しかし、全国的に見れば、気に入った学校施設が近くになかったり、例えあっても通うための移動が加わると時間的に間に合わないといったケースはたくさんあるでしょう。

 

そんなときにオンラインであれば、どんな遠方からでも受講できるので大変画期的な学習手段と言えます。

 

オンライン授業に必要な物。ツールの準備・注意するべきこと

パソコンとヘッドホンの写真

カメラとマイク

生徒側が準備する必要があるものは、デスクトップのパソコンを使用するのであればカメラとマイクです。

通常、外付けのカメラにはマイクもついていますので、それで十分です。別途マイクを購入する必要はありません。

ノートパソコンを使う場合は最初からカメラもマイクも内蔵されているのでそれでOKです。

 

イヤホンとヘッドホンについて

携帯電話に付属しているカメラ付きのイヤホンはあまりお勧めできるものではありません。

本人が気づかずに発している呼吸の音が、かなり邪魔なレベルでクラスみんなに聞こえてしまいます。

授業中終始それが続くので使用を禁止している教師もいるかもしれません。

 

また、頭からかぶるマイク付きのヘッドホン(電話オペレーターが使っているようなもの)については、私の周りでは特に目立った問題は発生していません。イヤホンと比べてマイクの位置がちょうどいい距離に固定できることが理由かもしれません。

 

ペンタブレット

手で書いたものをパソコンの画面で見られるペンタブレットは、基本的には必要ありません。

 

ただ、文字の書き方を習う授業の場合は、書いた文字を教師が確認できないという理由から、あったほうが便利な場合もあります。

 

但し、これは学校の授業の進め方に左右されるものですから、購入するよう指示がなければ、なくてもいいと考えて構いません。

 

注意点

どのクラスでも一定数、カメラを使わない人が存在します。

セミナーのように話を聞くだけの場合ならそれでもいいかもしれません。

 

しかし、外国語の授業では絶対にダメです。電話をしているのではありません。

電話で自由に会話ができるほどその外国語をマスターしているわけでもありません。

母国語を話しているのとは状況が全然ちがうのです。

 

相手の顔が見えるからこそ初めて教師もその生徒を指名して発話を促すことができます。

 

生徒同士が会話する活動でも、相手の顔が見えないことが、本人同士も指導する教師にとっても大きな障害となります。

それはちょっとのレベルではなく致命的なものです。

 

参加している意味が全くないだけでなく、クラス全体に迷惑となってしまいますので、カメラは必ず用意するようにしましょう。

 

ZOOMの使い勝手(ホスト側)

ZOOMは無料でも使えます。1対1のミーティングなら時間無制限。3人以上になると40分が制限時間となりますが、一旦終了してもう一度立ち上げるという手間をかければ実質時間無制限で使えます。

 

プライベートレッスンであれば無料プランでも十分かと思います。

 

有料プランの場合はプロが月$14.99、ビジネスが月$19.99です。

 

画面の共有機能

手元にある資料、例えばパワーポイントやPDFなどを相手に見せることができます。

ワードファイルを開いて黒板代わりにも使えます。ワードではなくてもZOOMの中にもホワイトボード機能が備わっています。

 

また、音声や動画も共有できるので聴覚、視覚教材も使えて便利です。

 

ブレイク機能(有料プラン)

グループクラスの場合、ペアを組んで活動を行うときにクラス全体をペアに分けることができます。

ペアだけではなく、1チーム3人とか4人とか人数調整も可能です。

 

みんなが教師の目の届かないところへ行ってしまうので、使い方は難しいですが、やはりグループなら必要な機能だと思います。

 

まとめ

外出自粛により在宅ワークが急激に進み、学校でもオンライン授業が普及しつつあります。

そんな中、ビデオ会議ソフトのZOOMが脚光を浴びて利用者急上昇。

 

2020年4月にはたったの20日間で1億人もの利用者が増え合計3億人が使っています。

第一四半期決算169%増と凄い勢いです。

 

会議や大学などの講義にはオンラインという手段は有効かもしれません。

これにより新しい可能性、ビジネススタイルがどんどん出てくることでしょう。

 

しかし、外国語学習という視点から見ると、グループレッスンの場合、教室と同じような学習効果を上げるのは至難の業と言っていいでしょう。

 

しかし、教師側もここで白旗をあげるわけにはいきません。

時代の流れでこれから必ず需要が増える分野ですから、即急な技術向上が求められています。

 

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